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町家・古民家のリノベ仲介サイトを見ると、ほとんどが既製の物件検索サイトと同じ作りで止まっている。床面積と築年と価格と駅距離だけで決まるなら客は SUUMO を見ている。リノベ仲介に必要なのは「なぜ売っているか」「誰が手を入れたか」「街の背景」を伝える設計で、これを抜くと問い合わせが伸びない。京都の町家リノベ仲介サイトを題材に、その作り方を整理する。

リノベ物件サイトに必要な4つの軸

ポータルサイトは「物件情報」しか持たない。リノベ仲介はここに3軸を足して成立する。

AXIS 01

物件情報

価格・面積・築年・構造・登記内容。判断に必要な事実を表で出す。

AXIS 02

物件の物語

前オーナーが何代住んだか、どんな商いで使われたか、改修で何を残したか。

AXIS 03

担当者の視点

なぜこの物件を扱うことにしたか、住み手としてのおすすめ。人格のある推薦文。

AXIS 04

エリアの背景

町の歴史、生活動線、商店、子育て・通勤事情。物件でなく暮らしを売る。

差別化は物件情報以外の3軸でしか作れない。多くの仲介サイトは1番目しか書かれていないが、これは社内に書ける人がいないからで、記事構成テンプレと CMS の項目設計で「書ける状態」を作る必要がある。

物件詳細ページの設計

物件詳細は情報密度が高い。脱落させないために以下の順で構成する。

  1. ヒーロー写真 + 一行コピー: 「築98年、東山の路地奥の京町家」のように所在と築年と特徴を1行で。
  2. 担当者の一言コラム: 情報表より先に「ここがいい」を200字以内で。
  3. 写真ギャラリー: 8〜15枚、横スワイプUI。
  4. 基本情報表: 価格・面積・築年・構造・用途地域・現況・引渡時期・駐車場・駅距離。空欄を残さない。
  5. SVG間取り図: 後述。
  6. 物件の物語: 前オーナー・改修履歴・残した古材、400〜800字。
  7. 周辺施設・エリアリンク: 徒歩圏インフラとエリアガイドへの内部リンク。
  8. 問合せフォーム / LINE 相談: 末尾+スクロール追従ボタン。

SVG間取り図の設計

PDF・JPG で貼ると拡大で潰れる。SVG なら軽く拡大に強く、色や寸法を後から差し替えられる。必須要素は次のとおり。

  • : 外壁と内壁で線幅を変えた実線。
  • : 壁線に重ねる細い2本線。
  • : 開く方向を弧で示す。引戸は短い直線2本。
  • 家具の参考配置: ベッド・ソファ・ダイニング等を実寸でサイズ感を可視化。
  • 寸法: 各部屋の長辺・短辺。畳数だけだと判断できない。
  • 方位と縮尺: 北マークと縮尺バー(1:50 / 1:100)。

SVG はテキストで直接編集できるので、改修前後(before / after)を git で差分管理できる。リノベ前後を間取り図で見せられる仲介サイトは検討客の決定打になる。

「担当者のこの物件のここがいい」コラムの威力

担当者コラムは物件詳細の上位に入れるだけで滞在時間が伸びる。リノベ物件を探す客は「数字で比較する世界」から外に出たがっていて、主観が早く出ると「住み手として選ぶ」モードに切り替わる。担当者の名前と顔が出ている物件は問合せの心理障壁も下がる。「会社に相談」より「あの人に聞く」のほうが行動コストが低い。

コラムは200字前後でいい。長くすると書ける人が限られて更新が止まる。「ここに座ると気持ちがいい」「縁側から見える柿の木が秋にいい」程度で十分機能する。

物件の物語が問い合わせを生む理由

「戦前から呉服商を営んでいた」「2002年まで写真館だった」「梁は江戸末期のものを残した」——こうした情報は不動産サイトの定型項目には載らない。素材は登記簿の所有者履歴・売主や前居住者へのヒアリング・町内会の証言・古い住宅地図・改修担当設計事務所の記録から拾える。これを1物件400〜800字でまとめると、検討客が「自分がこの物件を選ぶ理由」を言語化できる。問合せに「K-2026-014 の物語を読んで連絡しました」と書かれて入ってくるのが理想形。

エリアガイドページがSEOに効く

「東山区 京町家」「西陣 リノベ 中古」「左京区 古民家 仲介」のような複合キーワードは、検索ボリュームは小さくても検討段階の客が打ち込む確度が高い。物件詳細で取りに行くと似た町紹介が重複しコンテンツ評価が下がる。解はエリアガイドの別建て。「東山区で町家に住む」を1本作り、町の歴史・主要な通り・学区・募集中物件・町歩きスポットをまとめ、各物件詳細から内部リンクで流す。3000〜5000字の長文で問題ない。長いほうがロングテールに刺さる。

物件ID連番と管理ワークフロー

物件数が増えると URL と問合せの管理がボトルネックになる。最初に命名規則を決める。推奨は「K-2026-014」形式。

要素意味
頭文字取扱種別(K=京町家、F=古民家、A=アパートなど)K
年度取扱開始年2026
連番その年の0埋め通し番号014

URL を /properties/k-2026-014.html にすれば社内スプレッドシート・問合せフォーム・LINE すべてが物件IDだけで通じる。ワークフローは「受託 → 撮影 → 物語ヒアリング → コラム執筆 → SVG間取り図 → エリアタグ付け → 公開」の7段階を定義し、各段階の担当者を可視化する。3日以上動かない物件はアラート。

検索フィルターUIの必須項目

フィルターは入れすぎると触られない。リノベ系で本当に必要なのは5項目。

  • 価格帯: 「〜500万」「500〜1500万」「1500万〜」のような大きめレンジ。
  • エリア: 行政区 or 学区。京都市内なら上京・北・左京・東山・中京・下京・南・西京・右京・山科・伏見。
  • 建物タイプ: 京町家、戸建(古民家)、長屋、マンション、アパート、土地。
  • リノベ状態: 改修済/改修プラン提案中/未改修(リノベ前提)。
  • 駅距離: 徒歩10分/15分/20分/こだわらない。

「築年数」「平米数」「部屋数」は定番だがリノベ系では優先度を下げていい。築年は古いほど価値が出るし、平米数と部屋数は改修で変わる。

REAL SAMPLE

実例: 次の家 TSUGINO

本記事の4軸構成・SVG間取り図・担当者コラム・物語セクション・エリアガイドを実装した京町家リノベ仲介サイトのサンプル。物件詳細 /properties/k-2026-014.html は東山区の路地奥町家を題材にギャラリー・基本情報表・間取り図・物語・周辺施設まで組み、/areas/higashiyama.html は学区・商店街・生活インフラをまとめて各物件から流入させている。リノベ仲介の SEO とCVを両取りするテンプレとして使える。

リノベ仲介サイトは、既製テンプレを並べるだけでは差別化できない。物件情報・物語・担当者視点・エリア背景の4軸に、SVG間取り図・物件ID命名規則・エリアガイド・最小限の検索フィルターが揃って初めて「自社にしか出せない物件サイト」になる。町家・古民家を扱う小規模仲介や設計事務所連携の業者は、この設計でサイトを組み直すと問い合わせの質が変わる。

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本記事の構成をベースに、御社の取扱物件・エリア・運用体制に合わせたサイト設計をご提案します。月3万円台からの保守プランで運用まで巻き取れます。

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