清水寺・祇園・建仁寺。京都を象徴する寺社が集まる東山区は、京都市内でも特に観光地のイメージが強い場所です。けれど、観光ルートの大通りから一本路地を入ると、いまもなお町家が並び、ご近所付き合いがふつうに続いている小さな住宅街が広がっています。私たち次の家は、この東山区に拠点を置いて 8 年。観光客と暮らす人とが共存している、京都らしい住み心地のエリアです。
朝、人通りの少ない時間に清水坂を歩くと、観光地と思えないほど静かです。地元のお年寄りが箒で家の前を掃いて、向かいの和菓子屋の戸が開き、保育園に送る親子が通り過ぎる。観光客がやってくるのは大体 10 時を過ぎてから。夕方 5 時を過ぎるとまた、人の少ない夜の東山が戻ってきます。
生活インフラは観光地のイメージとは裏腹に、よくまとまっています。フレスコ・ライフ・ハッピー六原と中規模スーパーが徒歩圏に複数あり、八百屋・魚屋・豆腐屋の個人商店も健在。市バスは網の目に走り、京阪線・地下鉄東西線・JR の三線が使えるため、市内のどこへ行くにも 30 分以内です。
この場所で家を持つことは、京都の暮らしのいちばん濃い部分に身を置くことだと思います。日々の買い物、近所の人との挨拶、毎年の祭りや行事 — そのすべてが歩いて回せる範囲にある。観光客が見にくる京都の街並みを、自分が暮らす街として持ってしまうということです。
東山七条の町家に妻と暮らして 3 年です。在宅で映像編集の仕事をしているのですが、朝は鳥の声で起きて、昼に通り土間でコーヒーを淹れて、夕方に銭湯に行く。観光地のど真ん中なのに、生活の音はほとんど聞こえません。京都に長く住んだ人ほど「東山に住むのは観光客っぽい」と思うらしいですが、実際は逆で、地元密着の街です。
清水五条の長屋をリノベして住んでいます。3 歳の子と歩いていると、京都は坂が多いので毎日ちょっとした冒険になります。観光客のいる時間帯は子連れに少ししんどいけれど、朝早くと夕方は地元のお年寄りが声をかけてくださって、子どもが街に育てられている感じがします。スーパーは徒歩 5 分、保育園は徒歩 7 分、小児科は徒歩 4 分。意外と全部揃っています。
京都で家を選ぶというより、
東山という街にお邪魔する。
そういう気持ちで僕らは仕事をしています。